IF ~もしもあの時~ その1

 ■ -IF- もしもあの時(その1) 2010/4/11(Sun)




あの夏、



赤坂の某ホテルの前で私は、

あるコンテストの最終選考で着た

ダンスの衣装を衣装会社へ返するため

ダンスの先生と待ち合わせをしていた。


白いカリブパンツに

薄いピンクと白のシャツを着て

白い安っぽいプラスチックの

大きなイヤリングをつけていた。



「あの・・チョットいいですか?」



スーツ姿の紳士が突然私に声をかけた。



紳士「あの、モデルさんですか?」


私 「いえ、違います」


紳士「私はこういうものですが・・・

 

   どこか事務所に入っていらっしゃいますか?」




私 「いえ、何も入ってません」



紳士「あの、おいくつですか?」



私 「22ですが・・・」



紳士「え!?そうですか!?もっとお若いかと・・・


   けっこういってるんですね」




少々ガッカリしたようなニュアンスの言葉を放った後、


私に名刺を渡しながら



「あの、もし興味があれば、是非連絡をください」




私の手のひらに事務所の名刺を渡して去っていった。



名刺を見ると聞いたことがない会社の名前。



そもそも芸能事務所などよく知らない私だったので

知らなくてあたりまえなのだが。



帰宅して親に名刺をみせると、



「聞いたことない会社の名前だし、怪しいからやめときなさい」




と、即答され、その話しは終わった。




その名刺に書かれていた事務所が

柴崎コウや、有名な芸能人たちがたくさんいる

ちゃんとした事務所だった事を知ったのは

後になってからだ。



あの時、


もしも事務所に行っていたら・・・



今頃私は、



映画『三丁目の夕日』で、





夕日の役をやっていたかもしれない・・・(*vv)ゞ